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2006年 08月 11日
夏本番ですね!! 私は夏が大好きです。とは言うものの、今年は春からずーっととにかく忙しくて夏の予定をたてる余裕が全然なかったというのもあり、私の頭からはスッポリ「夏」が抜け落ちておりました。ハッと気が付いたら梅雨明け。「ちょ、ちょッ待てよ!!」とか(キムタク風に)言ってるうちに、はや8月。やっと夏服を買いに行けたと思ったら、もうセール後半戦で良いアイテムなど残ってナシ(セール早すぎ!)。新しいお気に入りの夏服もなくて、夏をすごせるかよ?と、ふてくされ気味の私です。もういいッ!秋冬に賭ける! と思うに至り、既に私の中では「夏は終わった」ことになっているのでした。。。(画像は、歌舞伎座チラシより) そんなわけで、旅行に行けない代わりに、せめて手近なところで異世界への旅を体験しよう、ということで歌舞伎座です(苦しいつなぎ・・・)。 先月(7月)、歌舞伎座に行ってまいりました。しかし、今回はいつもの一幕見席ではありません! 2階席! 8400円! 初日に何度も電話してチケット購入! しかも午前と午後の両方! ・・・ケチ(というか金欠)な私らしくもない、ものスゴイ張り切りよう。何故なら、・・・泉鏡花まつりだったから。 泉鏡花。いずみきょうか。ご存知の方も多いと思いますが、明治から昭和にかけて活躍した作家です。もちろん、鏡花の作品に関しては、いろいろとケチのつけどころ&ツッコミどころは満載だということは百も承知です。B級メロドラマのノリだし、時代錯誤だし、構成が破綻しているし、主語と述語が一致していないし。しかし、鏡花の作品だったら、どんな駄作でも最高! むしろ、駄作であればあるほど鏡花の味がそのまま顕れていて狂喜! いかなる欠点があろうとも、それは金襴の錦となり、いかなる破綻があろうとも、それは雪の真珠となる・・・って、鏡花調のつもりですね? 何を隠そう、私は泉鏡花にうっとおしいほどの思い入れがあります。学生時代、神保町の古本屋で全集30冊を買い込み、くる日もくる日も読みふけっていたくらい心酔してました。っていうか、いかに「非・華やか」な学生時代をおくっていたかがよくわかりますよね。いや、でもホントに若き日の青春を捧げたわけですよ! 本気で。さらに言うなら、私にとって泉鏡花は、唯一、「神」のような存在なのですよ!! (はいはい、わかりましたよ・・・。) そんなわけで、「鏡花LOVE!!」な玉サマ企画による、夢の鏡花劇4本立て。 演目は以下のとおり。 (午前) 『夜叉ケ池』 監修:坂東玉三郎 演出:石川耕士 出演:春猿(百合・白雪姫)、段治郎(萩原晃)、右近(学円) 『海神別荘』 演出:坂東玉三郎、戌井市郎 美術:天野喜孝 衣裳考証:坂東玉三郎、天野喜孝 出演:坂東玉三郎(美女)、海老蔵(公子) (午後) 『山吹』 監修:坂東玉三郎 演出:石川耕士 衣裳:坂東玉三郎 出演:笑三郎(縫子)、歌六(人形使い)、段治郎(島津) 『天守物語』 演出:坂東玉三郎、戌井市郎 出演:坂東玉三郎(富姫)、海老蔵(図書之助)、春猿(亀姫)、門之助(舌長婆) 個人的に、上記の中で一番好きなのは、『海神別荘』。 主人公の2人が、揃いも揃って、トンデモないんですもの・・・。最高です。以下、ストーリー。 海の宮殿に住む「公子」(海老蔵)は、強くて美しい貴公子(ちなみに、竜宮城の乙姫様の弟だそうです・・・)。公子は、人間界に住む「美女」(玉三郎)をぜひ妻にしたいと思います。そこで、美女の父は財宝と引きかえに、娘を海の生贄に。かくして、美女は海をユラユラとやってきました。 こんな感じで、ファルコンみたいな白い竜に乗って、 ゆら~り海をやってくる「美女」(←という役名ですから) ↓ ![]() そんな美女の様子を、公子(左画像)はマジックミラーで御鑑賞。すると、海の僧がやってきて、「あんなふうに女を馬に乗せた姿は、罪人の引き回しのようで不吉だ。まるで、放火の罪で火あぶりになった八百屋お七のようだ」とイチャモンをつけます。それを聞いた公子、こんな↓スゴイ論理でもって反論するのでした。「どこに当人(←お七)が嘆き悲しみなぞしたのですか。人に惜しまれ可哀(かわい)がられて、女それ自身は大満足で、自若(じじゃく)として火に焼かれた。得意(とくい)想うべしではないのですか。なぜそれが刑罰なんだね。もし刑罰とすれば、恵の杖、情の鞭だ。実際その罪を罰しようとするには、そのまま無事に置いて、平凡に愚図愚図(ぐずぐず)に生存(いきなが)らえさせて、皺(シワ)だらけの婆にして、その娘を終わらせるが可(い)いと私は思う。」なんと。「罰するなら、そのまま生かしておいてシワシワのババァになるまで放っておくのが一番の刑罰だ!」ときました。ひー。大問題になりますよ。そんなこと言ったら。 ファルコンの実態。 ↓ ![]() そうこうしてるうちに、美女が到着。ところが、鱗だらけのいかつい鎧を着た公子を見て、美女は「おそろしゅうございます・・・」と怖がります。すると公子、またもやこんなことを言い放つのでした。「私は、この強さ、力、威あるがために勝つ。閨(ねや)にただ二人ある時でもこれを脱ぐまいと思う。私の心は貴女を愛して、私の鎧は、敵から、仇から、世界から貴女を守護する。弱いもののために強いんです。 (中略) 女の身として、優しいもの、媚あるもの、従うものに慕われて、それが何の本懐です。私は鱗をもって、角をもって、爪をもって愛するんだ。・・・・・・鎧は脱ぐまい、と思う。」あくまでも強気! もう何がなんでも「鎧は脱ぐまい」と思う、とのこと。でも、二人きりの閨(寝室)でぐらいは鎧を脱ぐべし、と思う。 ・・・しかし、かなり奥深いことを言っています。すなわち、「優しい男、媚ある男、他人につき従う男に、愛されたところで、それが女の幸せか?」 と。・・・深いです。 公子、ステキかも!! そして美女は、海の生贄として捧げられたと思っていたけれども、自分は元気で幸せだということを人間界の人々に知らせたい、と言い出します。ところが、人間には大蛇としか見えないような身になってしまった、ということが判明。公子の魔法のせいだ、と公子を責めたて、嘆き悲しむ美女。すると公子、ついに怒り爆発!!「どこまで疑う。(憤怒の形相) お前を蛇体と思うのは、人間の目だと云うに。俺の・・・・・・魔・・・・・・法。許さんぞ。女、悲しむものは殺す。」短絡的すぎる結論!! 悲しんでるだけで、死ね。・・・や、やっぱり優しい男のほうが良かったかも・・・・・・なんて思う間もなく、処刑の準備が整えられます。大きな錨に、太いロープでもって磔にされる美女。 かなりの萌えシーン。嗜虐の美。 ↓ ![]() 公子の命令がくだり、部下たちの槍が美女のからだへ・・・危うし美女! と、その時、磔にされた美女が、突然こう言い放ちます。 美女 「貴方、こんな悪魚の牙は可厭(いや)です。御卑怯な。見ていないで、御自分でお殺しなさいまし。」間近で見つめあう、公子と美女。そして美女の口から出る、衝撃のセリフとは・・・?! ![]() 美女 「ああ、貴方。私を斬る、私を殺す、その、顔のお綺麗さ、気高さ、美しさ、目の清(すず)しさ、眉の勇ましさ。はじめて見ました、位の高さ、品の可(よ)さ。もう、故郷も何も忘れました。早く殺して。ああ、嬉しい。」 えーーーーーーっ!!! と、思わないように(って言われても思いますけど)。 「美しければ、すべて良し(本気で)」。それが、鏡花業界の掟・・・。 そして2人はまるでそのスジの者のごとく、互いの血を盃に落として飲み交わし、将来を誓い合います。 そして、クライマックス。 美女 「ここは、極楽でございますか。」 何ですか?! このキメゼリフは・・・!!! 「女のいく極楽に男はおらんぞ」って・・・さすが鏡花。たまりません。シビレます。こんな、ひたすら濃度が高くて物凄い大きさのGを感じさせるセリフ、なかなかお目にかかれません。海老蔵も良いけれど、私としてはぜひ仲代達矢(『鬼龍院花子の生涯』の頃の)にこのセリフを口走ってもらいたい!!と、切に願います。 ![]() (↑ 何言ってるのか分からないとなお良し) ちなみにこの『海神別荘』、美術と衣裳考証を、あの天野喜孝が担当。なるほど!という感じ。これを知ると、一気に舞台がグインサーガの世界に見えてくるから不思議です。 そういえば昔、私が学生の頃だったか、この『海神別荘』を宮沢りえ&伊原剛志で上演してたように思います(確か演出は玉三郎)。しかし、こういうスゴイ強烈でカリスマチックな役を、この上記の2人に演じさせるのはかなり酷だったのではないか? と思うのですが、どんなだったんでしょう。これ、そうとう芸があって、且つ美しくないと、単なるコントみたいになってしまいそうなんですけど・・・。ある意味、見てみたい気もしますがー。 今回の歌舞伎座、『海神別荘』以外の他の3つの劇もとても面白かったのですが、また長くなってしまうので、このくらいにしておきたいと思います。特に『山吹』はある意味でのおもしろさテンコ盛り作品なので、いろいろ書きたいのですが・・・、時間がないので後日書きたいと思います(・・・が、どうなることやら)。 >> 鏡花について 「裏青空文庫 泉鏡花」 「泉鏡花を読む」 ![]() 玉様 「じゃあここは極楽だわね (クスッ)」 エビ様 「・・・・・・(しまった!!)」 (このページで使用した画像は、歌舞伎座チラシとパンフレットから掲載しました。 問題があればご連絡くださいませ)
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