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2006年 02月 01日
(情報、追加いたしました! 2/3 19:00)
昔々、高校生の頃?だったかと思うのですが、当時愛読していた雑誌『Olive』で、村上春樹の世界をヴィジュアライズしたファッショングラビアがありました。当時の私は村上春樹の小説を読んだことはなかったので全くピンとこなかったのですが、そのモデルになった女の子が異常に可愛くて、もう何十回となくそのページを眺めていたものです。今から思えば、あれはまだ無名の頃の観月ありさだったと思うのですが、とにかくカッコよかったんですよー! 長い髪をポニーテールにひっ詰めて(→頭がさらに極少)、長い脚で古着のジーンズをはきこなし、古着のファーコートを無造作にはおって、スーツケースをひきずって歩く・・・そんな映画のワンシーンのようなグラビアでした。それ以来、そうしたイメージを求めていろいろなファーコート(安いの)を着てきた私ですが、未だにあのイメージを実現できるファーコートに出会えていないのは、一体なぜなんでしょうか? (着る人のせいです。) その答えを求めて・・・というわけではないのですが、先日、近所の古本屋で『毛皮のおしゃべり ~嶋田良子の魅力対談』(サンケイ出版 ←後に扶桑社と合併)という本を100円で買いました。銀座の毛皮店「グレース」の当時の社長・嶋田良子さんと著名人との、毛皮についての対談本。昭和59年(1984年)発売。現在絶版。ところどころ面白い部分があったので、ちょっと紹介してみたいと思います。 当時34歳だった若き日の坂東玉三郎に、一寸おたずねします(とは書いてないけど笑)。 玉三郎「ボクがいつも思うのは、どうやったら一番着物を着なれることができるかということなんですね。そのためには、一日一時間でもユカタを着るとか、お風呂あがりは必ずユカタがけでいるとか、どこか、お出かけの時には訪問着を着るとか、ちょっとでも着物を着る時間を増やす心がけが大切だと、ボクはよく人に言っているんですヨ。」 玉三郎「人間は、まとうということは自然に身についているでしょう。だから、寒い時は当然毛皮を着るとか、ちょっときどってみたい時は毛皮を着るとか、自分の皮膚の一部のようにするのが一番いいのではないのかな。特別なものを身につけているという意識をなくすことですね。意識がなくなるまで一生けんめい着る―――着物だって美しく着られるというのは、着物を着てるっていう意識がなくなるということなんだから、毛皮も同じなんですよ。」 き、きびしい・・・。 っていうかこれ、着物の話・毛皮の話っていうよりも、芸道論なのでは・・・? おそらく、玉様においては、全てが芸道。さすがです!! それから、もう一つ、とても面白かったのは、 玉三郎「きれいだと感じたその瞬間を再現するには、どれだけの要素が必要かを分析しないといけないんです。その時のシチュエーションが大事なんです。ステージに単にボーンと”赤”を出して、同じように美しいかというと、そうじゃない。状況、プロセスによって、その感じ方は全然違いますもの。それを知らなければ、表現や再現ができませんからね。なぜ、いい音に聞こえたか、ということも分解しなきゃいけませんし。」 感覚だけに頼ってしまっては本物ではない、プロではない、という話です。 本当にこの人って、真面目で勤勉な人なのですよね・・・。 やっぱり、それでこその、あの芸。頭が下がります。 往年のゴージャス☆スター、越路吹雪の巻。 嶋田「毛皮を着はじめて、もう三十年になられるから。その種類も大へんで、ちょっとした動物園くらいになるのでは・・・・・・。」 越路「いや、それほどでもないワ。あなたからすすめられたチンチラ、セーブル、レオパード、オセロット、シルバーフォックス、フィッチなんかを含めて30枚ぐらいかしら。」 毛皮、30枚!!! なんだか、ワクワクしちゃうエピソード。 ゴージャス万歳!!! そしてある意味、一番面白かったのが、岡本太郎。 嶋田「毛皮といえば、先生はどんなイメージをお持ちですか。」 岡本「特にないなあ。毛皮といえば動物を思い浮かべるぐらいだね。」 プッ・・・。 しょっぱなから飛ばす、素直すぎる岡本太郎。 毛皮ネタからはサッサと脱線して(笑)、お得意の「アヴァンテュール in 海外」ネタへGO! 岡本「パリなんかではね。例えばバスに乗っていても、目の前に美しい人がいるとじっとながめている。向こうもこちらをみて、気があうとね、お茶を飲みに行きましょうといってくれるし、そのうち、彼女の家に行ったり、こちらに来たりしてセックス関係になるんだけど、どうも日本ではそういうひらかれた色っぽさがない。美女がいて、こちらが見ていると固くなって、わざとむこうを向いたり、目をそらしてしまったりするんだもの。ちょっとつまらないね。」 「どこの国に行っても実に気持ちよくとけ込めるね。5~6年前に初めてスペインへいったときも、カフェで女子大生たちと意気投合してね。フラメンコを一緒に踊ったりしたんだよ。」 さらに、日本女性についても盛んに言及。 嶋田「最近は40代の中年の方たちも、とても素敵になってきているんですけど、どうですか」 岡本「40代以上の人といえば、もうご亭主もいて、いろいろと経験を重ねてますからね。それなりの美しさはあるだろうけれど、何か亭主と子供のマイホーム、自分の城さえ守っていれば、という感じで国境をもうけちゃってて。すべての男にとっての異性であるというふくらみが感じられない人が多い。まあ個人差だけど・・・・・・なんともいいようがないね(笑)」 さらにさらに話は飛び、得意のゴルフ話へ・・・。 嶋田「ウチも杉本英世プロの指導で毎年、春と秋にコンペをやっているんですが、杉本プロはご存知ですか。」 岡本「いや知らない。ボクは、スポーツに限らず人の名前は覚えないんだ。」 ・・・誰もかないませんよ、あなたには・・・。 ところで、毛皮の種類っていろいろあるんですよねぇ。私なんかファーコート持ってるって言ったって、すぐ毛が抜けてしまって四苦八苦する(=電車で隣に座った人がクシャミをする確率が異様に高い)ような御品しか買ったことがないので、種類なんて全然知らなかったのですが。そんなわけで、ちょっと調べてみました。(主なものだけなので、完全ではありません) ■食肉目 イヌ科:イヌ、オオカミ、コヨーテ、ジャッカル、タヌキ、キツネ(=フォックス) クマ科:クマ アライグマ科:アライグマ(=ラクーン) イタチ科:イタチ(=フィッチ)、オコジョ、ミンク、アーミン、フェレット、 テン(=マーテン)、クロテン(=セーブル)、スカンク、カワウソ、ラッコ ジャコウネコ科:ジャコウネコ ネコ科:ヤマネコ、オオヤマネコ(=リンクス)、オセロット、 ヒョウ(=レオパード)、ジャガー、トラ(=タイガー)、チーター アシカ科:オットセイ、アシカ、トド アザラシ科:アザラシ ■ウサギ目 ウサギ科:ウサギ(=ラビット) ■ゲッ歯目 リス科:リス、マーモット ビーバー科:ビーバー チンチラ科:チンチラ ヌートリア科:ヌートリア ■偶蹄目 ラクダ科:ラマ、アルパカ、ビクーニャ、ラクダ シカ科:ニホンジカ、ヘラジカ(=エルク)、トナカイ キリン科:キリン、オカピ ウシ科:ヤク、バイソン、ニホンカモシカ、ヤギ、ウシ、ヒツジ(=ラム) ん~~。主に、イタチ類が狙われているような・・・。 毛皮のなかでも、最も高級だとされているのが、セーブル(黒テン)です。特に、ロシアン・セーブル。シベリア、カムチャッカ産のものが最高級品なんだとか。ちょうどさっきTVで、うつみみどりがロシアンセーブルのハーフコートを持っていて、「2000万円以上した」って言ってました(でも、もっと質がいいと3000万円台するらしい)。 それから、アーミンも高級品。特にホワイト・アーミンはヨーロッパの貴族たちが、権力の象徴として好んだ毛皮なんだそうです。「fur.co.jp」サイトによると、イギリスのエドワード3世は、アーミンを「イギリス王室の毛皮」と勝手に決定。今日にいたるまで、イギリス王室公式行事の時にはアーミンのガウンをまとう、という決まりになっているそうです。 あぁ、あこがれの高級ファー・ファッション。私にとっては夢のまた夢のまた夢の夢くらいの話ですが、でも、「もしもそんな高級ファーを買える身分になったら・・・」というシュミレーション(いわゆる妄想)だけはいつもたくましくしている私、そんなシュミレーション(いわゆる妄想)に役立つ、素敵なファー・ファッション・フォトを最後にアップしたいと思います! ロシアのフォトグラファー Alexander Vasiliev の作品。 ロシアのフォトグラファー Alexander Vasiliev の作品。 1930年代にハリウッドで活躍した女優、ノーマ・シアラー。 『バーバレラ』のジェーン・フォンダ。 パコ・ラバンヌが、スカンクの毛皮で作った衣装。 ブリジッド・バルドーと、最初の夫ロジェ・ヴァディム。 歩きタバコ中のブリジッド・バルドー。 70年代のブリジッド・バルドー。 はりつけ?にされるブリジッド・バルドー。 このように毛皮LOVE!だったバルドーですが、皆さんご存知のとおり、今じゃファナティックな動物愛護運動家に・・・。 ↓ (動物LOVE代表、パリス・ヒルトン) (追加情報) 去年の夏に、石川県金沢市にある「金沢21世紀美術館」で公開されていた、マシュー・バーニー&ビョークの『拘束のドローイング9』が、東京でも公開されるそうです! 2月11日(土)~3月3日(金)3週間限定公開。シネマライズ渋谷にて。(→詳細はこちら) 見どころは、毛皮でできたキモノ。以前、放蕩娘ブログでも書いたのですが、 (→『拘束のドローイング9』での、毛皮キモノ!)(→『拘束のドローイング9』) なかなか興味深かったですよ。どちらにせよ、毛皮キモノは必見かと・・・! 毛皮キモノの素材についてのメモ。 ビョークの衣装: 長襦袢はエルクの毛皮、着物はコヨーテの毛皮、帯はシカの皮、打掛けは牛の皮。 マシューの衣装: 長襦袢はエルクの毛皮、着物は馬の皮、袴は牛の皮。 >> 毛皮について詳しいサイト 「丸岡」のサイト。 特に、「毛皮の名称」「毛皮の用語」など、勉強になります! >> ブリジッド・バルドーの動物愛護財団について。 「ブリジッド・バルドー・ファウンデーション」
by houtoumusume
| 2006-02-01 00:42
| ◆御洒落
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