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2005年 04月 29日
【制作】1958年 大映
【監督】吉村公三郎 【脚本】新藤兼人 【出演】京マチ子、若尾文子、細川ちか子、根上淳、菅原謙二、柳永二郎、坂東簑助、船越英二、浪花千栄子、仁木多鶴子 日本舞踊界でのし上がろうとする女たちの、熾烈な闘い!! 細川ちか子(←『貴族の階段』で滅魔教にハマッてる母親役だった)演じる小村流家元から、日本舞踊界での花形ポジションを奪った京マチ子。彼女は新たに菊陰流を設立し、家元として華々しい生活を送る。しかし、若尾文子演じる一番弟子が、そのポジションを狙っていた・・・。 「人にした悪事は自分にも返ってくる」という、分かりやすいルールに貫かれているストーリー。けれど、それぞれの女たちの背後には、戦争や貧困などの暗い過去が見え隠れします。12歳の頃から男にカラダを売ってきただとか、赤線で働いていていただとか。まぁ、ありがちと言えばありがちではありますが、でも、その暗い過去を感傷的に描写することはなく、修羅場シーン(少女時代に売春を強制していた親戚が金の無心にくるシーンや、夫の浮気を暴くシーンなど)での罵りあいの中で暴露されるだけ。しかもその罵りあいが、ほとんどギャグの応酬のようにしか聞こえず、奇妙にコミカルな効果を生んでいたのは、さすが新藤兼人。この人の視点って、ホントにいつもクールで、鋭い。感情にベタベタと流されることなく、事実と真実を見分ける知的センス。人間を徹底的に見つめた上でのリアリズム。こういうものを見ていると、今流行りの「泣ける映画!」なんてものは受付けなくなります、甘っちょろくて。 泣き落としで金を巻き上げようとする京マチ子。悪い女ですね。 何と言っても一番の見どころは、京マチ子に金の無心にくる大阪弁のバアサン、浪花千栄子。歯抜けのみっともない顔で、物凄い罵声を浴びせ、「電車賃だけでもくれ!」と追いすがる、強烈ババア。怒鳴りながらも指にはさんでるタバコがブルブル震えてるんですよ。ヤクでもやってるのか? こんな強烈なものは、なかなか今の映画ではお目にかかれません。もちろん京マチ子も負けずに、裸にタオルを巻いただけのアラレもない姿で「このクソババア!!とっとと帰れェ!!」と怒鳴り、ど突き、引きずり倒す! 大映映画の面目躍如! あぁ、大映映画、大好き・・・。 京マチ子と若尾文子。 この映画って、カラー映画なんだけどな・・・。 その他に、京マチ子の夫役で出ていた根上淳(ペギー葉山の故・夫)が、かなりいい男っぷりでした! 「日本舞踊なんて古臭いから、盆踊りみたいにして分かりやすくすればいいのさ」なんていうミもフタもない事をサラッと言っちゃう、自称「プロデューサー」。ちょっぴりワイルドな二枚目顔の、一見真面目そうでいて、実はやさぐれたヒモ男。こんな男、実際いたとしたら間違いなく問題外ですが、映画だったら結構好きかも・・・(笑)。 それから、個人的に、日本舞踊界の話だから・・・と着物に期待していたのですが、、出てくる着物出てくる着物、トンデモないもののオンパレード。「衣裳協力・高島屋」とクレジットされていましたが、あれって逆効果なんじゃないですかね。女主人公のえげつなさを表現するために、わざと最悪なものばかり選んだのかもしれませんが、すべてがマツケンサンバ並みにキラキララメラメでした。 吉村公三郎 女性映画革命@三百人劇場
by houtoumusume
| 2005-04-29 04:45
| ◆映画
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